1855年(安政2年)は、日本が「外圧」と「災害」という二つの大きな出来事に直面した年です。
ロシアとの条約締結により国際関係が進展する一方で、江戸を大地震が襲い、社会は大きな混乱に見舞われました。
幕末の不安と変化が一気に表面化した年です。
開国の影響は、日本社会にどのような不安をもたらしたのか?
安政江戸地震などの災害も重なり、社会の不安は一気に高まります。
開国直後の混乱から幕末の動乱へと向かう流れを時系列で確認できます。
1855年の重要出来事
安政の大地震
11月、江戸を直撃する大地震(安政江戸地震)が発生し、多くの死者と甚大な被害が出ました。
市街地は壊滅的な打撃を受け、火災も相次いで発生し、江戸の都市機能は大きく麻痺します。こうした混乱は幕府の統治にも影響を及ぼし、社会不安を一層強める要因となりました。
日露和親条約の締結
日本とロシアの間で日露和親条約が締結され、択捉島と得撫島の間に国境が定められました。
また、通商や外交の基礎も整えられ、日本はロシアとの正式な関係を持つことになります。これにより、日本は複数の列強と関係を結び、本格的に国際社会へ組み込まれていきました。
海防と軍事近代化の進展
幕府は外国の脅威に対応するため、西洋式軍備の導入を本格的に進めました。
品川台場の整備に代表される砲台建設が進められ、洋式銃の導入や軍艦の建造も行われます。これまでの和式中心の防衛体制から転換し、近代的な軍事力の整備が始まりました。
これは、日本が「鎖国国家」から「防衛国家」へと変わり始めたことを示す重要な動きです。
この年は何が変わったのか
開国を受け、日本では西洋の技術や制度を取り入れる動きが本格化しました。
長崎に海軍伝習所が設立され、オランダの指導のもとで西洋式の航海術や軍事技術が学ばれます。
また、造船や砲術などの分野でも近代化が進み、日本は軍事力強化に向けて準備を進めていきました。
こうした動きは、単なる対応ではなく、将来を見据えた国家の変革の始まりでした。
つまり1855年は、「近代化に向けた具体的な準備が始まった年」です。
この蓄積は、のちの戦争や国家改革の土台となっていきます。
この年の重要人物
1855年は、開国による外圧と国内の混乱の中で、日本が本格的に近代化へ向けた準備を進め始めた年です。この変化を担った人物を整理します。
軍事・近代化
- 勝海舟
長崎海軍伝習所で西洋式軍事を学び、日本海軍の基礎づくりに関わった - 矢田堀景蔵
海軍伝習所の一期生として西洋技術の導入を担った
幕府政治
- 阿部正弘
開国後の政策を主導し、軍事近代化を推進した中心人物 - 堀田正睦
老中として外交・政治の舵取りを担った
外交(ロシア)
- プチャーチン
日露和親条約を締結し、日本との外交関係を進展させたロシア使節
災害と社会
- 藤田東湖
安政江戸地震で命を落とした水戸藩の思想家
出来事・事物起源・話題
- 2月11日
- 将軍徳川家定、品川のお台場に臨み、砲台の発射演習を観る
- 2月22日
- 蝦夷地を幕府の直轄となす(ここに於いて松前崇広東西蝦夷地を上納す)
- 2月29日
- 幕府の軍艦鳳凰丸竣工し、老中阿部正弘、海防掛等大森海岸にてこれを観る
- 3月3日
- 幕府、国防のため各寺院の釣鐘を毀し兵器を鋳造せよと命ず
- 3月9日
- 踏絵の制(切支丹宗取調のため二百年来の制度)漸く廃せられる
- 3月27日
- 米艦来航、日本海の測量を請う
- 7月3日
- 幕府、西洋流の銃砲演習を奨励す
- 7月13日
- 江戸のお濱屋敷で、初めて電信機の見学
- 7月26日
- 佐賀藩鋳造の大砲8門、順勢丸にて江戸へ輸送中紀州沖にて沈没
- 8月24日
- 京都紫宸殿上棟式、現在の建物
- 9月15日
- 木村芥舟、本丸お目付に登用
- 10月2日
- 安政の大地震
- 10月9日
- 佐倉藩主堀田備中守正睦、13年ぶりに老中に再任
- 11月23日
- 現在の京都御所、紫震殿、清涼殿の御造営竣工し、天皇新内裏へ御還幸
- 12月15日
- 吉田松陰、1年数ヶ月振りに野山の獄を出される
- 12月22日
- 長州姥倉の運河竣工開通す
- 12月23日
- 長崎奉行、オランダ使節キュルチウスと日蘭和親条約締結調印
- 12月27日
- 西郷吉之助、橋本左内の初対面
天皇
孝明天皇(在位:弘化3年2月13日~慶応2年12月25日)
将軍
徳川家定[13代](在位:嘉永6年11月23日~安政5年8月8日)
生活の話題
食
- 江戸でビスケット製造
その他
- 中浜万次郎はじめて写真をとる。邦人として最初
この年のポイントまとめ
- 安政江戸地震が発生
- 日露和親条約が締結された
- 幕府が軍事近代化を進めた
- 幕末の中心人物が動き始めた
「危機が日本を変え始めた年」
社会不安の高まりは、幕府と政治にどのような影響を与えたのか?
混乱の中で政治的対立は深まり、やがて大きな転換点へとつながっていきます。
幕末の動乱へ進む流れをあわせて理解できます。

