この年の重要キーワード
民撰議院設立建白書
征韓論に敗れて下野した板垣退助ら8名によって提起された、選挙による議会代表社選出を願う建白書。左院に提出された。新聞掲載後、国会開設時期に関し、活発な論争が展開され、のちの自由民権運動のきっかけとなった。
佐賀の乱
藩閥政府に対する不満から、征韓と士族特権維持を要求して、江藤新平を主領に、征韓党と憂国党を中心とする士族約1万2,000人が県庁や佐賀城を襲撃。政府の近代的軍事力により鎮圧。江藤は逮捕され13名が死刑。
出来事・事物起源・話題
- 1月4日
- 榎本武揚、最初の海軍中将に任命される(最初の海軍大将は明治27年の西郷従道)
- 1月14日
- 岩倉具視、凶漢に襲われ負傷
- 1月14日
- 民撰議員設立を建白(副島種臣、板垣退助、後藤象二郎、江藤新平、由利公正ら)
- 1月15日
- 東京警視庁設置
- 1月17日
- 「民撰議員設立建白書」を提出
- 1月23日
- 近衛歩兵第1・第2連隊編成成り、天皇、軍旗を授ける
- 1月28日
- 東京青山御所開かれる
- 1月31日
- 女工採用の始(大蔵省の紙幣寮にて初めて女工を採用)
- 2月2日
- 新橋・京橋間に鉄道設置
- 2月4日
- 江藤新平による佐賀の乱起こる(鎮圧のため鎮台兵出動)
- 2月6日
- 大久保利通・大隈重信、台湾出兵を決定
- 2月15日
- 国産石鹸の販売広告、初めて新聞に表れる(東京木挽町の某商店)
- 2月18日
- 江藤新平ら、佐賀県庁(佐賀城)を占領
- 2月19日
- 佐賀県賊徒征討仰出
- 2月22日
- 陸軍省第6局を廃し、参謀局を置く
- 3月1日
- 政府軍、佐賀県庁を奪回
- 3月24日
- 安部川に初めて木橋の安水橋竣工して盛大な開通式を挙行
- 3月24日
- 明治最初の人口調査(太政官令に依って日本全国の人口調査を布令)
- 3月29日
- 佐賀の乱の主謀江藤新平捕らえられる
- 4月2日
- 明六雑誌の発行
- 4月4日
- 陸軍中将西郷従道を台湾蕃地事務都督とし、兵3,600を率いて討伐することを命ずる
- 4月10日
- 板垣退助ら高知で立志社を創立
- 4月13日
- 江藤新平処刑
- 4月13日
- 英公使、清国が日本の出兵を侵略と見なすならば、英人・英船舶の参加を禁止すると寺島外務卿に通告
- 4月18日
- 参議兼文部卿木戸孝允、台湾出兵に不満をもち辞表提出
- 4月18日
- 米公使ビンハム、清国の敵対行為には、米人・米船の参加禁止を通告
- 4月19日
- 政府、台湾征討中止を決定し、西郷従道に出発延期を命ずる(西郷反対姿勢を強く示す)
- 5月2日
- 台湾征伐のため、谷干城ら長崎を発つ
- 5月4日
- 大久保利通・大隈重信、西郷従道と長崎で会見、西郷の強硬意見をいれ征討実施を決定
- 5月11日
- 大阪・神戸間鉄道竣工、仮開通
- 5月22日
- 台湾征討軍、台湾に上陸(二番十八社を降す)
- 6月6日
- 娼婦の検黴制度初めて実施される(吉原の娼妓色を失い脱出多数に及ぶ事件発生)
- 6月7日
- 外国郵便の始まり(アメリカ合衆国と郵便交換条約締結される)
- 6月8日
- 島根県雑賀町の大火(約2,000戸焼失)
- 6月18日
- 陸軍参謀局条例を定める
- 6月25日
- 谷干城、台湾平定凱旋復命
- 7月9日
- 閣議、台湾問題につき、清国との開戦も辞せずと決定
- 7月22日
- 巡査の棍棒を廃し帯剣とする
- 7月24日
- 台湾問題のため、特命全権公使柳原前光、天津において李鴻章と会見
- 7月30日
- 東京湯島の図書館を浅草米倉に移し浅草文庫を設立(和漢書約2,600冊)
- 8月1日
- 参議大久保利通、議官高崎正風らの一行に台湾征討折衝のため、清国派遣を任命
- 8月3日
- 全権公使柳原前光、清国の大臣と会見折衝して、台湾問題を議す
- 8月5日
- 郵便貯金開始
- 8月8日
- 森有礼に依り、日本最初の洋式商科専門教育たる商法講習所を設立
- 8月14日
- 海軍仮提督府を鹿児島県におくことを決定
- 8月16日
- 全権総理大臣大久保利通、軍艦「龍驤」にて長崎発、清国に向う
- 9月9日
- 二階建馬車を禁止する
- 9月14日
- 大久保利通全権、恭親王と台湾問題の交渉を開始
- 9月20日
- 兵学寮内に水雷製造局設置される
- 10月9日
- 万国郵便連合発足
- 10月20日
- 青森県尻屋崎燈台竣工点火される
- 10月23日
- 台湾問題の日清談判不調に終わる(全権大使大久保利通、最後通牒を起草する)
- 10月29日
- 清国台湾問題第一回償金支払
- 10月31日
- 大久保利通の談判に依り、日清間台湾問題和議成り立ち、清国側弁償と決す
日清両国間互換条款(償金50万両)および互換憑単を北京で調印 - 11月2日
- 読売新聞創刊される
- 11月13日
- 台湾派遣軍隊撤退の勅命出る
- 11月26日
- 新島襄、渡米後10年振りに帰朝横須賀着(これより同志社の建設に努める)
- 11月27日
- 台湾征討に関する日清談判に成功せる大久保利通帰朝、参内復命する
- 12月1日
- 大阪・神戸間に鉄道貨車運輸開業
- 12月3日
- 西郷従道の率いる台湾征討軍、台湾を発して凱旋の途に就く
- 12月10日
- 外国天文学者初めて来日し、神戸諏訪山上にて金星の太陽通過を観測
- 12月11日
- 東京市街に初めて石油ランプの街燈点火される
- 12月13日
- 伶人に命じ、西洋音楽を学ばせる
- 12月18日
- 東京市街に初めてガス燈点火
- 12月18日
- 東京、名古屋、大阪に歩兵連隊編制
- 12月27日
- 西郷従道、谷干城ら、台湾征討より東京に凱旋(参内して征台の状を奏す)
生活の話題
衣
- 巡査の制服制帽公布
- 京都府石鹸使用を奨励する
- マント流行始まる
- 陸海軍人服制改定
- 長襟巻の流行
- 外国錦の輸入盛んになる
食
- 津校正信、大阪市内で搾乳を始める
- 弘前のアメリカ人教師、アメリカよりリンゴの苗を移植
- 政府『紅茶製法書』を刊行
- 浅草に紙巻タバコつくるものあり
- 千葉の山田箕之助、野菜の缶詰をつくる
住
- 竹橋陣営、煉瓦造三階建の工事完了
- 東京ガス会社、ガス灯の点火を開始する
- 工部大学校生徒館(煉瓦造二階建)できる
- 舶来ランプだけでなく、和製も出まわり、東京市中にランプ普及する
- 駿河町三井組三階煉瓦建築成る
その他
- 郵便脚夫、ピストル取扱規則公布
- 東京府、大通りの人道車道の区別を定める
- 東京府、新墓地設定
- 二階建四頭立の乗合馬車、東京市内を通る
- 大阪・神戸間鉄道開通
- 新橋駅構内人力車夫数を制限する
- 東京市内街路樹を植える