この年の重要キーワード
郵便制度
政府は前島密の県議に基づき、イギリスで確立していた郵便制度を導入、東京ー大阪間で発足した。1873年(明治6年)の布告で郵便事業を国家専掌下に置いた。1885年(明治18年)に逓信省に属す。1875年(明治8年)外国郵便開始。
新貨条例
伊藤博文の建議により制定された貨幣法。円・銭・厘の単位や十進法を定め、1円金貨を原貨とした。近世以来の貨幣の混乱を是正し、金本位制の確立を目指したが、貿易上の便宜から金銀複本位制が採用された。
廃藩置県
藩を廃して府県に統一し、全国を政府直轄地とすることで中央集権体制をめざした改革。版籍奉還を経て、薩・長・土3藩から集めた御親兵の武力を背景に断行。全国3府302県となり、のちに3府72県に整理された。1888年(明治21年)3府43県に定着。
岩倉使節団
岩倉具視を特命全権大使とする欧米に派遣された使節団。副使に大久保利通・木戸孝允など。目的のひとつであった条約改正交渉は失敗。だが政府首脳が欧米の制度・文化に触れた意義は大きく、1873年(明治6年)征韓論で大久保、木戸らが内治優先を説く契機ともなった。
出来事・事物起源・話題
- 1月9日
- 横井小楠、大村益次郎に続いて広沢真臣も暗殺される
- 1月16日
- 西郷隆盛、木戸孝允、大久保利通、治政改革のため土佐の山内容堂訪問
- 1月18日
- ドイツ新帝国誕生(初代帝位にヴィルヘルム一世)
- 1月24日
- 東京・京都・大阪間に郵便開設のため同規則を領布し3月1日より実施
- 1月28日
- 普仏戦争でパリ陥落し、フランス側より和を乞い休戦条約締結(これより日本はドイツに注目する)
- 2月2日
- 西郷隆盛、山内容堂、板垣退助、山県有朋ら上京(明治維新政府の大変革が本格化)
- 2月8日
- 東京の火事に初めて消防ポンプを使用
- 2月13日
- 帝都に親兵設置
- 2月17日
- 初めて一般より水兵を募る
- 2月22日
- 鹿児島藩歩兵四大隊、砲兵四隊、山口藩歩兵三大隊、高知藩歩兵二大隊、騎兵二小隊、砲兵二隊を御親兵として招徴し、兵部省の隷下に置く
- 3月1日
- 郵便切手発行(郵便ポストもこの時始まる)
- 3月5日
- 江藤新平、対外策を岩倉具視へ呈す
- 3月11日
- 神武天皇祭の始(後に4月3日に改める)
- 4月4日
- 戸籍法を定める
- 4月4日
- 旧藩札発行の禁令
- 4月7日
- 専売特許条例制定
- 4月12日
- 皇城(皇居)に電信開設
- 4月18日
- 平民の乗馬を許す
- 4月20日
- 郵便制度の実施
- 4月21日
- 西郷隆盛、島津忠義に従い、常備兵四大隊を率いて京都に入る
- 4月21日
- 東京・長崎間の郵便開設
- 4月23日
- 初めて鎮台を設置(東山道本営を陸前石巻、西海道本営を豊前小倉に設ける)
- 4月24日
- 戸口調査のため民家各戸に番号を記入せしむ
- 4月30日
- 売笑婦の性病予防法設立
- 5月1日
- 大井川の輦台渡、廃止となる
- 5月9日
- 車馬道、人道の制、初めて東京市街主要大通りに開く
- 5月10日
- 新貨条例定め一円を単位とする
- 5月13日
- 参議副島種臣、樺太の境界問題解決のためロシアへ派遣を命ぜられる
- 5月14日
- 種痘種を各府県に頒ち種痘奨励
- 5月28日
- 洋服屋開店広告初めて現われる(横浜五十二番街及び東京茅場町に各一軒洋服屋開店)
- 6月18日
- 陸奥の尻屋岬燈台竣工する
- 6月25日
- 西郷隆盛、木戸孝允、参議となる
- 7月14日
- 天皇、在京56藩知事を集め、廃藩置県の詔書を出す(3府302県とする)
- 7月18日
- 文部省を創設(初代文部大輔に江藤新平を任命)
- 7月20日
- 大蔵省内に紙幣局を設置
- 7月29日
- 太政官官制改定、新たに正院、左院、右院を置く
- 7月29日
- 清国との修好条規を天津で調印(日清通商条約)
- 8月4日
- 最初の侍従長に徳大寺宗則任命
- 8月5日
- 太政大臣三条実美、鉄道一部竣工につき、横浜に於て汽車に試乗する
- 8月9日
- 旧風を改め、散髪・廃刀の自由を許す
- 8月18日
- 明治天皇、馬車を召され浜殿へ行幸(馬車にて行幸の始め)
- 8月18日
- 東京、大阪に鎮台を設ける
- 8月21日
- 伊豆の石室埼燈台竣工す
- 8月22日
- 坂本龍馬、中岡慎太郎両家共、その姪に故人の家督相続を許される
- 8月23日
- 華族・士族・平民相互の結婚を認める
- 8月28日
- 穢多・非人の称を廃止
- 9月2日
- 官吏の給与を月給制とする
- 9月5日
- 東京の元聖堂大成殿に文部省直轄の博物館を開設し、物産所所蔵の物品を移す
- 9月7日
- 田畑勝手作を許可
- 9月9日
- 江戸城より初の午砲、正午を知らせる
- 9月22日
- 明治天皇、日比谷操練所にて陸軍整列御閲兵(最初の天長節観兵式)
- 10月1日
- 東京湯島の大成殿にて、最初の博覧会開かれる
- 10月3日
- 宗門人別帳を廃止
- 10月8日
- 岩倉具視を右大臣に任じ、特命全権大使として欧米各国派遣を命じられる
- 10月18日
- 伊予国佐田岬に燈台竣工す
- 10月20日
- 伊万里の深川長右衛門、同地より佐賀まで私設電話架設を出願許可される
- 10月23日
- 邏卒(巡査)3,000人を東京に置く
- 11月4日
- 最初の停車場新橋駅落成(横浜停車場と同型、米国建築技師ブリジンスの設計、煉瓦造二層の洋館)
- 11月14日
- 九州の28県を11県と改める
- 11月12日
- 岩倉具視ら欧米使節団、出航
- 11月22日
- 全国を3府72県と改める
- 12月17日
- 官吏、靴履のまま上庁を許される
- 12月18日
- 華士族も農工商業を営むを許される
- 12月26日
- 東京裁判所設置(裁判の始まり)
- 12月27日
- ドイツにて印刷の新紙幣発行される
- 12月28日
- イタリア人アントニオ・メンチェィ、電話機を発明し特許をとる(グラハム・ベルの発明より5年前のこと)
生活の話題
衣
- 米国人ヘボン、横浜居留地で女学校を開き、編物刺繍を教える
- 散髪・脱刀勝手令発布、その前後シャッボ買占め行われる
- 平民羽織袴の着用許可
- 婦人で散髪するものあり
- 紀州の瀬戸重助、綿布に起毛考案、翌年製造開始
- 東京府、屋外の裸体裸足を禁止
- 北海道開拓使、東京出張所で洋裁の伝習生を募集
- 邏卒服、郵便服の制服を定める
- 和歌山の弾直樹、製靴伝習所を開始、毎月1万足以上の生産をなす
- 西村勝三、製靴工場内にメリヤス機会を輸入、手袋の製造を始める
食
- 京都府・福井・千葉県で搾乳目的の牧牛を始める
- 乳児用ゴム吸口のあるガラス壜「乳母イラズ」と称した
- 牡牛のみ屠殺せよとの布告出る
- 東京市中パンを売る店多くなる
- 各地で天然氷をつくる、箱館氷が最も有名
- 東京にリキュール酒をつくるものあり
住
- 大阪造幣局、洋風建築成
- 官庁椅子の使用始める
- 官員住宅に関する規則施行
- 石坂周造、長野石炭油会社創設
- 横浜ガス局設置
- 国産セメント製造に成功
その他
- 三都に郵便受取所、書状集め箱を設けることとする
- 浅草の火事に洋式ポンプ威力を示す
- 秋葉大助、大阪に人力車製造の支店をおく
- 大阪荷車の橋上通過の自由を認める
- 戸籍の規則布告
- 平民の乗馬許可
- 新貨条例発布
- 岩手の農民、父の仇を討つ
- 東京・大阪交通製に関する布告をなす
- 廃藩置県
- 郷社定則・氏子調規則発布
- 華族と平民の結婚を許可する
- 官員、月給制となる
- 帯刀者の渡場無賃乗船を廃止
- 東京城内で毎日正午に号砲のドンを始める
- 東京府に邏卒3000人を配す
- 武家地も地租を納めることとなる
- 東京市中で、かごは人力車に圧倒され哀微する
- 洋傘輸入41万円にのぼる
- 横浜の各所に共同便所できる