豆州熱海
加茂郡日傘山の麓小田原より七里の所にあり
三方は山を負い一面海に接し冬暖に夏涼し
浴舎二十余軒四時客を絶ず
大湯の奇観公園の勝景温泉寺の旧蹟もありて一遊すべきの名区なり
明治33年発行『日本名勝百景』より
現代語
加茂郡の日傘山のふもとに位置し、小田原から約28キロの場所にあります。三方向は山に囲まれ、一方は海に面しており、冬は暖かく夏は涼しいです。温泉の宿は20軒以上あり、年間を通して訪れる客でにぎわっています。大湯の驚くべき景観や公園の美しい景色、そして温泉寺の歴史的な遺跡などもあり、訪れる価値がある名所となっています。
熱海の概要
静岡県の東端、伊豆半島の基部に位置する熱海は、相模湾に面しています。熱海温泉の歴史は古く、「熱海温泉記」によれば、温泉の起源は五世紀にあたるとされ、「あつみが崎」と記述されています。さらに、「吾妻鏡」には「伊津国阿多美郷」としても記録されています。近世になると熱海は湯治場として繁栄を迎え、将軍家にも温泉水が送られるほどでした。そして、1937年(昭和12年)には、近隣の一村を合併して市制が施行されました。