紀伊和歌の浦(和歌浦)
本邦に名だたる勝地にして古来詩歌の吟詠頗る多し浦は南を受けたる入海にして東西二十町許りの所を称す
地の島沖の島双子島雑賀崎等を一望し眺嘱佳絶
特に近傍名所古蹟に富む
明治33年発行『日本名勝百景』より
現代語
日本でも有名な観光地で、昔から詩や歌の詠まれる場所がたくさんある。浦は南側の入り江で、東西に約20町ほどの広がりがある。地の島、沖の島、双子島、雑賀崎などが一望でき、景色は素晴らしい。特に、周辺には名所や歴史的な遺跡が豊富にある。
和歌浦の概要
和歌山市南部に位置する和歌川河口の西岸には、絶景の景勝地が広がっています。この地は「万葉集」をはじめとして、古くから歌枕として詠まれてきました。特に奈良時代には聖武天皇の行幸で有名です。平安中期以降、貴族たちが高野山や粉河寺、熊野大社への参詣途中でしばしばこの地を訪れました。さらに、17世紀には和歌山藩主の徳川頼宣が、この景勝地の美しさを堪能するために境内に東照宮を建立しました。